こんにちは 志方です。
“着物”を始めていくうえで避けて通れないもの…それは
正絹(しょうけん)ですね。
着物=正絹と思う方もいらっしゃるくらい着物の生地の代表格です!
「代表とはいっても”絹”じたいどんなものかよく知らないんだけど…」
「正絹って値段高いけど、なんでなの?」
などなど…
正絹がなぜ着物において重宝されているのかも交えながら、説明してきますね!
目次
正絹とはなんだ?
正絹(しょうけん:漢字だけだと読み方わからないですよね)は
絹100%で作られた着物のことを指します。
…絹とは聞いたことがあるけど、いったいなんなの?と思うこともありますよね。
絹とは…
蚕の繭からとった動物繊維である。独特の光沢を持ち、古より珍重されてきた。蚕が体内で作り出すたんぱく質・フィブロインを主成分とするが、1個の繭から約800 – 1,200メートルとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント糸)である。
引用:wikipedia
幼虫がカイコと呼ばれ、成虫ではカイコガとも名前が変わったりします。
「シルクロード」なんて学校の授業でも習いましたよね!…覚えてないこともありますよ!(志方も正直…記憶はあいまいです…)
絹の歴史は古く紀元前3000年頃の中国で始まっていたと記されています。
絹の製法がわからず、中国から輸入する形でインドやペルシア方面に伝わっていきました。
当時でも貴重なものでして、特に人の手で織っていたので大変だったのは想像しやすいですよね。
そんな貴重な絹が着物の素材として多く使われています。
絹ってなんで高いの?
「着物に限らず、絹を使ったものは高いけれど…なんで?」
と思われるでしょうが、絹って元は蚕の繭から作られています。
小さな蚕からとれる糸は約800~1200メートルほどだそうで、「そんなに取れるなら安く…」というはけにはいかないです。
あくまで取れる糸がその長さなわけで、布にすると全然足らないんですよね。
着物に必要な1反=幅38cm×12mのものでおよそ2600粒も必要になるんです!
化学繊維や綿などのものと違って、蚕は生き物なので飼育していく必要があるので繭ひとつでも大変なうえ、その繭から糸を作り出すのも!また苦労の連続なのです…
使える繭、製品に向かないものなども選別しつつ、良質なものをつくっていくとなると時間も手間もかかります。
ゆえに値段が高くなってしまうのが絹製品、とりわけ着物に使われるものだとよりいい糸を選ぶので高くなってしまいますね。
絹ってどんな特徴があるの?
「手間暇かかってるから値段が高いんだね。でも…絹ってどんな特徴があるの??」
絹ってすごくいいんだよ!肌触りが…という話になりますが、絹が生地として優れているのは多くの理由があります!
- 美しい光沢がある
- 吸湿・放湿・保温力が高い
- 静電気がおこりにくい
- なめらかな肌触り
などなど、詳しくみていきますね!
美しい光沢がある
絹は繊維の断面が三角形の形をしています。その部分が光に照らされることによって美しい光をまとってくれます。
また、その三角形の構造により絹製品を合わせること(絹の帯を締めるようなイメージ)をすると”絹鳴り”(きぬなり)という独特の音が発生します。
これは絹でしかなしえないことで、化学繊維などでは構造上おこらない現象なのです。
吸湿、放湿、保温力が高い
繊維そのものが熱を伝えにくい性質を持っていて、繊維の隙間に空気を多く含んでいるので温度調整に優れています。
また、湿度調整も優秀でさらっとして生地でありつつも無駄な水分は飛ばしてくれるので快適な衣類環境を定期してくれるんですね!
静電気が起こりにくい
「え?なんで?」と思われるかもしれません。
乾燥した時期におこりやすい静電気ですが、あれは人の体と衣類という別の物質同士がこすれあうことで発生します。
小学校のときに下敷きをわきでこすって髪に近づけると、髪の毛が逆立ったりしましたよね?
原理はいっしょでして、同じ性質のものなら静電気は発生しづらいということになります。
絹はその構成成分が人の体に似ているのもあって、静電気がおこりにくくなっているのです。
なめらかな肌触り
絹は光沢の具合や構成成分により、なめらかな生地に仕上がっているので肌触りがとてもやさしくなっています。
上質な繊維でしか表現できない、独特さは着物をきるのであればせめて1着はほしいところだと思います。
絹って弱点ってあるの?
「いいとこばっかり言ってるけど…弱点とかもあるんでしょ?」
その通りです。
値段が高い以外はいいことばっかりな感じもしますが…弱点もあります。それゆえに普段着物の生地に選ばれない部分でもあります。
- 黄変しやすい
- 水に弱い
- 摩擦に弱く、毛羽立つ
- 手入れに手間がかかる
ことですね。
黄変しやすい
着物の特徴に“紫外線を吸収してくれる”というものがあります。
その特徴だけならいいのですが…じつは紫外線を吸収してはくれますが、時間経過とともに黄色く変色してしまいやすいんですね。
紫外線吸収してくれるから大丈夫だなんて安心しきっていると…ありゃーなんてことにも!
水に弱い
これが普段使いにしづらい理由のひとつだと志方は考えてます。
生活する上で水回りのことだったり、突然のあめにうたれる可能性だってあります。
しかし…絹はぬれてしまうとシミになってしまいやすいんです。
そういう素材だと逐一気を付けなけばならず、気を使いすぎて使いづらくなってしまいますからね。
摩擦に弱く、毛羽立つ
絹はとても繊細な製品です。
ゆえに、ざつな扱い方だと素材をだめにしてしまいます。
毛羽立ってくると絹本来の良さが失われてしまい、非常いもったいなくなってしまいます。
手入れに手間がかかってしまう。
もうひとつ。絹が普段使いしづらい理由がこれです。
綿やポリエステルとは違い、家庭で洗濯できずに専門のところにまかせてしまうことになります。
専門店なので値段も割高に…そうなると普段使いしててソースやワインなんかこぼした日には…!!
考えただけでも恐ろしい感じがしてしまいますね。
正絹にも種類があるの?
正絹には簡単に分けて2種類あります。(今回は男性の着物なので2種類ですが、女性の場合だともっと多くなります。)
それが”お召”と”紬”です。
どういう違いがあるかと言いますと、お召は生糸、紬は真綿というものが使われているという点です。
…いきなり言われてもよくわからないですよね(^-^;
生糸とは絹のなかでも同じ幅、太さのそろったものでしか作ってない糸のことで
真綿とは絹のなかで幅や太さの不揃いなものでこうせいされたものになります。
生糸で作れらた着物をお召、真綿で作られた着物を紬としています。
また、第一礼装(結婚式の主役が着るような一番、位の高いもの{※このような着物独特の位のことを”格”といいます。})は“羽二重”という最高級のものがあります。
しかし…日常で目にすることはほぼないのでここでは解説しません。
特に男性がきる着物で好まれるのはお召と紬に分かれることが多いです。
お召
お召縮緬(おめしちりめん)ともいわれ、将軍への献上品として提供されたもので徳川家斉が特に気に入ったとされたもの。
その光沢やなめらかな肌触りは特に気いられ今でも人気は高いのです。
一般的には織よりも染めの着物の方が格が高く、礼装用に好まれるのだが…お召は特別で略礼装としてもちいられるほどのものである。
桐生産が有名ではあるが、他にも西陣、十日、米沢などが有名である。
紬
絹のなかでもくず繭や穴あき繭などで作られた織物であり、節(糸の太さによる表面ので凸凹具合のこと)があり光沢があまりないのが特徴。
なぜこの絹織物ができたかというと、歴史的な文化とかかわってるんです。
江戸時代に”贅沢禁止令”というのが出されたときに、町の裕福な人々は「遠目からだと木綿に見える!」というもので絹織物を着るように工夫したものです。
現代での紬は”普段着”のジャンルではあるが高級品として扱われている。
正絹を選ぶうえで気を付けることは?
素材はお召にしろ、紬にしろ絹であることに変わりはないので問題ないです。
強いて言うなら高価なものなのでより自分のサイズに適したものを選ぶようにしましょう。
木綿のような普段着だと洗濯などで縮むのを考慮して購入することもできますが、絹だとそうはいかないので注意しましょう。
ましてや絹は高価なので自分ように誂える(オーダーメイド)ことで愛着も沸きますからね♪
終わりに
正絹はその値段に注目されがちですが、絹で作られるその特徴はやはり普段よく目にするものでは味わえない良さがつまっています。
こういってはなんですが、せっかく着物をきるのですから正絹の着物ひとつはもっていてもいいと思いますよ。
実際志方も持っていますが…触り心地はとても気持ちよく、綿やポリエステル、その他の生地では味わえないような感動を感じました。
特に男性の着物だと正絹のような生地の着物は華やかさに加え優雅さもまとわせてくれるので購入してみはいかがでしょうか?
「新品で買うのはちょっと…値段が…」なんて方は中古サイトで探してみるのもオススメです!
意外と自分の背丈にあったのが見つかるかも…!?ですよ!
ではでは。
志方のオススメ着物中古サイト→中古着物シンエイ